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日本における軟包装フィルムリサイクルの新たな動向:素材の分離から再生ペレットの製造まで
2026-11-06

食品包装、日用品の包装袋、詰め替え用パウチなど、軟包装フィルムは幅広い用途で使用されています。軽量で柔軟性に優れ、包装効率が高い一方、使用済みフィルムのリサイクルにはいくつかの課題があります。特に、印刷やラミネート加工が施された多層フィルムは、異なる種類の樹脂や印刷インキ、接着剤などを含むため、素材の分離や再生処理が難しくなります。

2026年10月7日、artienceグループの東洋インキとDICは、軟包装フィルムのマテリアルリサイクルに関する業界共通の評価プロトコルを策定したと発表しました。この取り組みでは、主に脱墨性と剥離性を対象に、試験手順、評価基準、報告形式の統一を進めています。これにより、包装メーカー、ブランドオーナー、リサイクル事業者が、異なる包装材料のリサイクル適性を共通の基準で評価しやすくなります。公式発表では、素材の特性に応じた適切な処理条件の設定や、再生プラスチックの品質向上も期待されています。

こうした動きから、日本の軟包装リサイクルでは、使用済み包装材の回収量だけでなく、回収後の材料をどのように処理し、再生材として有効活用するかが重視されていることが分かります。リサイクル事業者にとっては、安定した原料の確保に加え、フィルムの種類や状態に応じた前処理と再生加工が重要になります。

軟包装フィルムのリサイクルで素材の分離が重要な理由

単一素材のPEフィルムとは異なり、軟包装には防湿性、遮光性、バリア性などの機能を持たせるため、複数の素材を組み合わせた構造が採用されることがあります。例えば、PEやPPなどの樹脂に、印刷や接着剤によるラミネート加工を施した包装材があります。

こうした加工は包装性能を高める一方、使用後のリサイクルを難しくする要因にもなります。印刷インキが再生材の色や外観に影響するほか、異なる樹脂層が複合されている場合、素材の分離にも手間がかかります。

ここで重要になるのが、脱墨性と剥離性です。脱墨性とは、フィルム表面に印刷されたインキをどの程度除去できるかを示す特性です。一方、剥離性は、複合フィルムを構成する異なる素材の層をどの程度分離しやすいかを示します。artienceとDICが策定した業界共通プロトコルは、これら2つの特性を統一した方法で評価するためのものです。

ただし、脱墨や層間剥離は、一般的なフィルム洗浄とは異なる処理工程です。通常の水洗いや摩擦洗浄は、フィルム表面に付着した泥、ほこり、その他の汚れを除去するためのものであり、すべての複合素材を分離したり、印刷インキを完全に除去したりできるわけではありません。そのため、軟包装フィルムのリサイクル設備を検討する際は、まず原料の構造を確認し、それに適した処理方法を選ぶ必要があります。

回収されたプラスチックフィルムにはどのような処理が必要?

マテリアルリサイクルが可能なPEやPPフィルムは、一般的に選別、破砕、洗浄、脱水などの前処理を行った後、目的に応じてペレット加工へと進みます。

まず、フィルムの材質、構造、汚れの状態を確認し、原料を選別します。異なる樹脂が混在している場合は、再生用途に応じて適切に分けることが重要です。素材の組み合わせによっては、混合したまま加工すると再生ペレットの品質に影響する可能性があります。

次に、フィルム破砕機を使用して、大きなフィルムを後工程で処理しやすいサイズに細断します。フィルムは薄く柔軟で、互いに絡まりやすいため、柔軟性のある材料に対応できる破砕設備を選び、安定した搬送と供給を確保する必要があります。

破砕後のフィルムに泥、砂、ほこりなどの汚れが付着している場合は、洗浄工程に進みます。フィルム洗浄機では、水流や機械的な摩擦を利用してフィルム表面の汚れを除去します。汚れが多い原料については、原料の状態に応じて複数段階の洗浄工程を組み合わせることも可能です。

洗浄後は、遠心脱水機や脱水設備、乾燥設備などを使用して水分を低減します。フィルムは軽量で表面積が大きいため、洗浄後の水分管理も重要です。原料の汚れ具合、処理量、後工程のペレット加工条件に合わせて、適切な脱水・乾燥設備を選定します。

洗浄したフィルムから再生ペレットを製造する方法

前処理を終えたPEやPPなどのプラスチックフィルムは、押出造粒システムによって再生ペレットに加工できます。

ペレット加工では、前処理済みのフィルムを押出機に投入し、加熱とスクリューによる搬送によって溶融させます。その後、フィルターで残留異物を除去し、カッティング工程を経て再生プラスチックペレットを製造します。

前処理の状態は、後工程の造粒の安定性にも影響します。原料に砂やその他の異物が多く残っていると、フィルターへの負荷が増加する可能性があります。また、原料の含水率が高い場合も、押出工程の条件調整が必要になることがあります。そのため、洗浄、脱水、造粒の各設備は、処理能力のバランスを考慮して組み合わせることが重要です。

再生ペレットの品質を安定させるには、押出機や造粒システムだけでなく、前段階の原料処理にも目を向ける必要があります。原料の清浄度、含水状態、素材構成などが、最終的な加工品質に関係します。

例えば、日本のリサイクル企業であるKIMURA株式会社は、GREENMAXと長年にわたり協力関係を築いており、LDPE/LLDPEフィルム洗浄ラインを導入しています。この設備では、破砕、洗浄、脱水などの工程を通じて、回収フィルムに付着した砂や汚れを除去し、後工程で利用しやすい原料に仕上げています。

この事例からも分かるように、プラスチックフィルムのリサイクルでは、最終的な押出造粒設備だけでなく、その前段階にある洗浄・脱水工程も重要な役割を担っています。

軟包装フィルムのリサイクルに適した洗浄・造粒設備の選び方

軟包装フィルムのリサイクル設備を選定する際は、原料の材質や複合構造、汚れの程度、処理量、最終製品の要求品質などを総合的に考慮する必要があります。

PEやPPを主体とする単一素材のフィルムであれば、汚れの程度に応じて、破砕、摩擦洗浄、脱水、押出造粒などの工程を組み合わせることができます。一方、工場内で発生する比較的きれいなフィルム端材であれば、洗浄工程を簡略化し、不要な設備投資を抑えられる場合もあります。

印刷やラミネート加工が施された多層軟包装フィルムについては、設備選定の前に素材構成やインキ、接着剤の特性を確認することが重要です。脱墨や層間剥離が必要な場合は、専用の処理技術が要求を満たせるかを確認したうえで、一般的な洗浄・造粒工程に適用できるかを判断する必要があります。

また、洗浄後の含水率、押出時のろ過条件、目標とするペレット品質、最終製品の用途なども考慮し、前処理から造粒までの工程を適切に組み合わせることが大切です。

GREENMAXは、PEやLLDPEなどのプラスチックフィルムについて、原料の状態、汚れの程度、処理量、最終製品の要求に応じた破砕、洗浄、脱水、造粒設備の構成を提案しています。企業ごとの原料条件に合わせて、前処理から再生ペレットの製造まで、一連のリサイクルラインを構築できます。

日本で軟包装フィルムのリサイクル評価基準の整備が進むなか、包装材料のリサイクル適性や再生材の品質に対する関心も高まっています。原料に適した処理工程を選び、洗浄、脱水、造粒設備を適切に組み合わせることで、マテリアルリサイクルが可能なプラスチックフィルムの有効活用につながります。